リーデルクランツ通信 No4 (後編)


2010年10月15日

◆第4回練習レポート(その2)
10月9日(土)
ケンちゃんが東京湾屋形船を堪能しておられた丁度その頃、当方は自宅でキムチチゲなんぞを突っつき、眞露チャミスル片手に、『よりによってこんな日に屋形船に乗り合わせた人は残念だねー』なーんて話しを、雨に煙るレインボーブリッジを眺めながらカミサンと話しておりました。程なく、例によって例の如く、ソファーに寝転んでTVを観る間もなく、意識は遥か天上の世界に・・・・ZZZZZZ。ケンちゃんからMailが入っていることに気付いたのは深夜2:30。あらまあ、すごくお近くにいらしたんですねー。多分、件の屋形船は私の視界に入っていたはず。

10月10日(日)
朝昼(ブランチとも言います)は昨夜のキムチチゲの残り。これを片付けて朝湯に入ると、もう結構時間が無い。クールダウンもそこそこに、いざ江古田!気候はそれほど暑いと言う事は無いはずですが、キムチチゲのカプサイシンの効果と風呂の熱が残っている状態で品川駅まで徒歩10分。これで汗が噴出して参ります。ダイエット効果はあるかもしれないけど頂けません。西武池袋線に乗ったあたりで一旦、汗は引いたものの、江古田駅から大学への歩行運動でまた汗が・・・。カプサイシン+風呂+運動の組合わせはもうしません!

そんな訳で、あまり気持ちの宜しくない状態で大学構内を進みますと4大祭の看板が散見されます。得点はと言うと・・・、例によって武蔵はビリかい。そう言えば、昔は4大祭の時には大学だったか体連だったかから、賛歌の演奏を要請されて講堂で歌った記憶が蘇って参ります。今はどうしているのでしょう?そんなことをツラツラ考えながら、10号館にたどり着くと、現役メンバーの爽やかな笑顔が迎えてくれました。また、柔道着だか、空手着だか知りませんが、格技系のいでたちの現役学生が私をOBと思ったか、最敬礼をしてくれます。あ、私は関係者ではありません・・・なんて説明するのもヤボですから、ご苦労!てな調子で対応しておきました。

10号館3階での練習は今回は始めてとなります。場所としては悪くありません。講堂ほど響きませんので自分の声を正しく聴く事が可能なように感じます。が、ピアノは最悪ですな。プロの演奏家たる若月先生にこんなボロピアノを弾かせると言うのは全く以って申し訳ありませんが、どうしようもありません。考えてみれば、ピアニストの方って大変ですよね。その他の楽器奏者なら楽器は自前ですが、ピアニストはその場の楽器を弾くしか無い訳ですからね。まあ、稀にグランドピアノ持参でコンサートする人もいますが。

そんな中、練習が始まります。準備運動と発声練習を経て、本日は第一楽章「農夫と土」から開始です。この曲、本当に名曲と感じます。ここで志村先生から新たな指示が。『最初のページは感情表現を控えて、すっきりと・・・』。なるほど!「農夫と土」一曲独立で考えた場合でもこの部分はあまり濃厚に歌わない方が良さそうですし、大曲である「土の歌」全体のプロローグであると言う見方をすると、より一層、ここでは抑制された表現の方が相応しいですね。その「抑制された」中に醸し出される静かで深い感動・・・みたいな表現をしたいですね。精進しなければ。

曲の冒頭部分は(広義の)モノフォニック(主旋律+和音伴奏)的な展開ですが、中間部分からはポリフォニック(掛け合い、輪唱)的な部分が出てきます。そして再びモノフォニックに収斂して幕が閉じられる訳ですが、このコントラストが第一楽章の重要な要素では無いかと思います。今まではどちらかと言うとパート練習の比重が高かったこともあり、あまり意識しなかった(私がボケだっただけかも?)こう言う部分が明らかになってきたと言うか、いよいよ合唱としての練習の面白さが出てき始めたように感じます。

志村先生も他の声部との掛け合いの妙みたいなものを重要な音楽的ファクターの一つとして指導されているようです。勿論、響き、支え、フレージング、デュナーミク、言葉の表現。先生の指導は広範に亘りますが、一つ一つ非常に納得の行く内容で・・・何て言うと偉そうで恐縮ですが、とても充実した『楽しい音楽の時間』です。
これらの細かいながらも重要な音楽的要素を、「頭で解っている」状態では無く、「身体で覚える」と言いますか、歌舞伎で言うところの「板に付く」と言いますか、要は楽譜に釘付け状態では無く、自然に表現できるレベルに高めることが肝要・・・。OG/OBと言う全く異なる生活環境を背景に持つ我々としては、一堂に会しての合唱の練習時間はどうしても限られますので、個人的な時間をマネージして、楽譜に目を通す、志村先生の指導内容を反芻してみる、USTEAMを視聴する、この繰り返しがやはり大切だと感じます。でもこれって、「厄介な仕事」では無く、「楽しい時間」だとも思います。「のだめ」の映画版(前編)の一場面で、ヘボオーケストラの面々がそれぞれのプライベートの時間に練習をする場面が出てきますよね。オーボエは副業のタクシー(こっちが本業かも?)の客待ちの間に曲をさらう。チェロは自宅で子供が騒ぎ、カミサンが文句を垂れる中、ひたすら練習に励む。管楽器のメンバーはセーヌ川(?)沿いの橋の下に集まって練習をする・・・。で背景の音楽はエルガーでしたね。あの場面、大好きです。

ちょっと深刻な話になってしまい、申し訳ありません。いつものおバカモードに戻ります。
第二楽章「祖国の土」です。この楽章はパワーが必要ですが、ある意味、第一楽章「農夫と土」の要求する緊張感から開放してくれる効果があるように思います。「さあ、景気良く行こう!!!」と言った感じですかね。但し、植木等ではダメです!(引合いが古過ぎる?でも50代の貴方なら大丈夫!)志村先生は、声部ごとに対する丁寧な指示をされつつ、合唱全体のアンサンブル(志村先生はこう言う表現はされませんが)に軸足を置きつつあるように感じます。男声部がロングトーンを続ける上で女声部は付点のリズムをはっきり刻むとか、「あるけ」「あるけ」を言いなおす感じで、縦の線(つまりリズム)を明確に合わせるとか・・・あまり細かく書き始めると、パートリーダーから配信している「練習ノート」と同じになってしまうので止めときます。

第三楽章「死の灰」。この楽章でもアンサンブルです。一ページ目は主旋律を浮き立たせる。それをハミングのパートは意識する・・・たとえばそう言った面で、やはり自分だけ考えている段階では無いと言うことですね。さて、この楽章になって初めてテノールはディビジします。で、前回、人数の都合でトップを歌った私でありますが、今回はケンちゃんを含めて4名のトップがおられる、と言う事でセカンドに「非難」した訳ですが、セカンドはセカンドでなかなかやりがいがあると言うか、難しいと言うか。音域的には余裕を持てますが音程は捉え辛いですね。この楽章ではありませんが、第四楽章「もぐらもち」の中間部は音程取り辛いこと夥しい!なめてかかると痛い目に逢うと言う当たり前の事実を「痛感」した次第です。

このあと、第四楽章を、やはりかなり掘り下げたレベルで練習し、最後の第五楽章は疲労感も高まった中で、少々ボロい出来ではありましたが、兎にも角にも「通した」と言う実績と次回練習への課題を残して本日の練習を終わりました。

秋の日差しは西に傾き、志村先生の背後の窓から直射日光となって差し込んで来ました。キャンパスの樹木は未だ緑を保っておりますが、復路、千川通り沿いを歩いていたら、銀杏の匂いが漂って参りました。狂ったような猛暑続きだった今年も、晩秋に歩みを進めつつあるようです。

さてさて、またぞろ、かなりの長文となってしまいました。
まだまだ課題は山ほどありますが、徐々に合唱の体を為して来たかな・・・と思える練習でありました。
丁寧、且つ情熱的な指導をして下さいました志村先生、ボロ楽器と格闘しながら、合唱を支えて下さった若月先生に感謝であります。
皆様、お疲れ様でした。
次回が待ち遠しいです。

(川島 靖之)

◆次回の練習
は10月24日(日) 13時〜16時
於:武蔵大学講堂

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現在リーデルクランツ通信は102名のOB・OGに配信しています。名簿登録総数は322名ですので約3分の1への配信です。特に2002年卒業以降はほとんど登録されていません。リーデルクランツを存続させるためにも、多くの方とのコミュニケーションを図りたいと考えています。
同期の方、前後の代の方に連絡をとられ、当通信の配信をご承諾いただけましたら、HPのお問い合せより、または下記有志宛にメールアドレスをご連絡ください。

■編集後記
リーデルクランツ通信のメアドの投票率は1%でした。こんなどうでもいいよなことに付き合ったのは誰かって? あえてお名前は明かしません。次回の練習に来られると思いますのでぜひお探しください。ヒントAB型の人です。(矢澤)


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